消火スプリンクラーシステムなどの配管には耐熱性や難燃性などの点で高い性能が求められます。
国ごとに準拠すべき規格を設けていることも多く、これをクリアしなければ消火スプリンクラー管として使用できません。
積水化学グループは消火スプリンクラー配管用途向けのCPVCコンパウンドとして“Durastream EX”をご提供しています。
ここでは“Durastream EX”の概要や強みについて紹介していきます。
“Durastream EX”は、“Durastream”シリーズのなかで消火スプリンクラー配管用途に特化したCPVCコンパウンドです。
消火スプリンクラー配管に求められる耐熱性や難燃性等の物性を兼ね備えています。
また、国際的な基準に準拠していることも特徴です。スプリンクラーシステムなどの消火管には国や地域ごとに規格が定められていることが多く、規格に適合しなければその国や地域での販売ができなかったり、火災保険に入れなかったりするなどの不都合が発生します。
積水化学はCPVCコンパウンド“Durastream EX”を、消火スプリンクラー配管用途のCPVC配管材(パイプ・継手)を製造する成形メーカーに提供しています。
CPVCコンパウンド“Durastream EX”からつくられるCPVCパイプ・CPVC継手は、消火スプリンクラー配管用途に非常に適しています。
CPVC消火スプリンクラー配管の導入イメージについてはこちら
積水化学は、自らも管材メーカーとしての側面を持ち、押出・射出など成形分野に高い技術力を保有しています。
CPVCコンパウンドの販売だけでなく、お客様である成形メーカーに対して成形分野の技術サポートも行っています。
UL規格は、アメリカUnderwriters Laboratories Inc.(UL)による電気製品や材料・部品に関する安全規格です。機能と安全性の規格であり、品質基準としてアメリカのみならず世界的に広く認知されています。
“Durastream EX”は、UL規格「QORR2」(スプリンクラー配管のパイプおよび継手に使用する高分子材料)を取得しています。最新の認証内容についてはULウェブサイトをご確認ください。
消火スプリンクラー配管用途でよく用いられる他の素材と比較したとき、CPVCコンパウンド“Durastream EX”は多くの優位性があります。
ここでは「難燃性」「腐食耐性」「施工のしやすさ」の3つの視点で優位性を解説します。
消火スプリンクラー配管で最も重視される要素である難燃性については、指標である限界酸素指数をみると、“Durastream EX”は60%と他のプラスチック素材よりも高い値を示しています。
木材の限界酸素指数は25%なので、木材の2.4倍の酸素濃度がなければ“Durastream EX”は燃えないといえます。
消火スプリンクラー配管は、万一の火災時に備え、長期間その機能を維持し続ける必要があります。
消火スプリンクラーパイプが腐食したり、内部に異物が蓄積すると、求められる機能を満たせなくなります。
導入後数年経過した金属配管では劣化が進み内部にスケール*が発生している一方で、CPVC配管に対するスケールの蓄積は多くありません。
※スケール: 配管内を流れる液体に溶けている物質が析出し、配管内部に付着したもの。水垢の一種。
消火スプリンクラー用CPVCパイプは、静水圧も金属配管並みの耐久性があり、長く使い続けられます。
配管の施工作業に必要な人員数と作業時間について検証を行いました。
同じ用途で比較した場合、CPVCパイプは金属パイプに比べて非常に軽量です。軽量であることが工事現場内での運搬に関わる作業負荷を軽減します。また、工事現場内で一度に多くのパイプを運搬しやすいため、作業時間の短縮にも寄与します。
更に、CPVCパイプは専用の工具を使うことで容易に切断することが可能です。パイプを工事現場で必要に応じた長さに加工しながら、スピーディーに施工を進めることができます。パイプと継手を接続する際には、専用の接着剤を用いて簡単に、しかも強固に接合することができます。
このような作業は、簡単なトレーニングを積めば熟練した技能を要さずに誰でも行うことができます。
その結果、人員数・作業時間ともに金属素材の約半分で済むことがわかりました。
一般的な金属管と比較して実験を行ったところ、”Durastream EX”で成形されたCPVC消火スプリンクラーパイプの施工にかかる作業時間は、約半分で済むという結果が出ました。
“Durastream EX”は消火スプリンクラーシステムの要求基準を満たしながら、施工現場の負荷軽減によってコストを削減できる製品であることを紹介してきました。
近年、さまざまな国・地域の幅広い種別の建物に対し、CPVC消火スプリンクラー配管が導入されています。
CPVC消火スプリンクラー配管の導入イメージについてはこちら
積水化学グループはお客様である成形メーカーに対し、基準に合致した配合設計を行い、よりよい製品開発に取り組んでいます。