CPVCとPVCの違い

PVC(塩ビ樹脂)は、耐熱性や難燃性、耐薬性といった性能の高さに加えて経済性にも優れており、私たちの生活に必要不可欠な素材です。一方でPVCでは耐えられない厳しい使用環境にも適応できる素材として、PVCの特性を伸ばした素材であるCPVC(塩素化塩ビ樹脂)が様々な分野で活用されています。
積水化学グループは培ってきた技術をもとにCPVC生産技術を確立し、さらに2014年にはタイで生産会社を設立し、高い品質のCPVC製品をグローバルに供給してきました。現在では、CPVCの分野で世界有数のシェアを誇ります。ここではCPVCがどのように作られるのか、また特徴や用途について紹介します。

PVCからCPVCができるまで

CPVCは、製造されたPVCに対してさらに塩素(Cl)を付加する後塩素化工程を経て製造されます。一般的なPVCが含有する塩素量が57%程度であるのに対して、CPVCが含有する塩素量は60~70%となっています*1。これを用途に合わせて他の顔料や添加剤と混ぜ合わせて加工するとCPVCコンパウンドになります。私たちは、CPVCコンパウンド“Durastream”を主力製品として提供しています。

*1:塩ビ工業・環境協会 塩ビとは:改質方法と物性
https://www.vec.gr.jp/enbi/enbi2_5.html

What-is-CPVC1

CPVCの優位性

CPVCの優位な点は、PVCが備える耐薬性や電気特性、機械強度などを維持しつつ、耐熱性・難燃性の2つが大幅に向上していることです。
1つ目の耐熱性については、一般的なPVCの耐熱温度が70度前後であるといわれているのに対して、CPVCは耐熱温度が10〜40℃向上して110℃前後になります。これにより、厳しい高温環境下での使用が可能です。
2つ目の難燃性については、一般的なPVCの難燃性がV0*2に対して、CPVCは最高レベルの5VA*3に分類されます。これにより、耐火性の要求水準が厳しい施工箇所で使用することが可能です。

 *2:V0 自己消化性はあるが燃焼速度は比較的速い
 *3:5VA 自己消化性があり燃焼速度が最も遅い

CPVCは主に、PVCでは対応しきれない厳しい環境下で採用されています。たとえば、化学工場や半導体工場における耐熱プラスチック配管、消火スプリンクラー配管などが挙げられます。これは、火災保険でCPVCの使用にインセンティブを与えているケースが多いことも1つの要因となっています。また、平均気温の高い地域の場合、通常PVCが採用される箇所であっても耐熱性に優れたCPVCが採用されることもあります。

ここまでCPVCの製造工程や特性について解説してきました。近年は世界的な建設需要の高まりによってグローバルにCPVCの使用量が増えています。

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CPVC-vs-PVC_3

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