配管は用途に応じてさまざまな素材が用いられます。大別すると金属とプラスチックに分けられ、金属の中でも銅や鉄などさまざまな種類があります。プラスチックにおいても、PVC(塩ビ樹脂)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)など多岐にわたります。
CPVC(塩素化塩ビ樹脂)は、その中でもとくに幅広い分野で優れた性能を示す高機能プラスチック素材です。
ここでは、他の金属素材やプラスチック素材と比較しながらCPVCの特徴を説明します。
配管に求められる要件はさまざまで、曲げ強度や引張強度といった機械的物性、体積抵抗や耐電圧などの電気特性、酸性やアルカリ・溶剤に対する耐薬性、耐熱性や難燃性などの熱に対する耐性、軽さ、施工現場における加工のしやすさ、そして価格など多岐にわたります。
CPVCは幅広い要件において優れた特性を示す素材です。単一の分野であれば他の素材が優れている場合もありますが、CPVCは総合的に高い性能を示すことから汎用性が高く、さまざまな配管用途への適用が可能です。
プラスチック配管の中でも用いられることが多いPP(ポリプロピレン)や、PVC(塩ビ樹脂)とCPVCを比較した図を示します。
CPVCは塩素化しているため密度が高く、他のプラスチック素材と比べて重量が重くなりますが、耐熱性、難燃性、引張強度と曲げ強度において、他のプラスチック素材よりも高い性能を示しています。
CPVCが金属素材よりも優れている点は大きく分けて2つあります。
1つめは耐用年数の長さです。
配管内を流れる液体に塩素が多く含まれている場合、さびが発生し、急速に金属配管が劣化することがあります。
また、スケール※により配管内部が詰まると、清掃や取り替えが必要です。
金属配管は酸やアルカリなどの混入により劣化が進みますが、CPVCはさびや腐食による劣化が発生しにくく、スケールが付着しにくい性質を持つため、長い耐用年数が期待できます。
※スケール: 配管内を流れる液体に溶けている物質が析出し、配管内部に付着したもの。水垢の一種。
2つ目は設置作業における人的コストの削減です。
CPVCでつくられたパイプは軽量で、建設現場での取り扱いが非常に容易です。
また施工時に簡単に切断や接着ができるなど加工が容易であるため、設置作業時の人的コスト削減に寄与できます。作業員に対する教育工数も少なくすみます。